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AIの「エラー」がひらめきを生む:不完全性をデザイン発想の味方に

Entry

AIの「エラー」がひらめきを生む:不完全性をデザイン発想の味方に

Type
Paper
Year

@June 18, 2024 9:30 PM (GMT+2)

Posted at
June 5, 2025 6:03 AM (GMT+9)
Tags
theorydesign
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Overview

NotebookLMによるまとめ (誤認識をなぜか「まにんしき」と発音してますね)

  • AIモデルの間違いがどのようにデザイナーの創造性を刺激するかを検証した論文
  • 特に画像認識モデルYOLOv4を使って、画像につけられた誤ったラベルに着目。実際に写真に写っているものとAIが誤ってつけたラベルのミスマッチが、デザイナーに与えるインスピレーションを検証

Motivation

  • AIの誤りは避けられない、だったら有効に使おう!
  • AIが出してくるアイデアにAIを使う側はどうしても引っ張られてしまう。AIの利用がアイデアの「固着」fixationを生む可能性がある。AIのエラーはむしろこの固着を打破する突破口になるのではないか。
  • 人とAIの競争関係を考える上でのヒントを探る

Method

本論文の手法 全体像
本論文の手法 全体像

手法としてはこの通り

  •  オブジェクト検出モデル(YOLOv4)を使ってAIが誤認識した画像の「エラー」データセットを収集
  • 8人のデザイナーに「誤ったラベル付け」されたオブジェクトから得られるインスピレーションについてコメントを求める
  • コメントをまとめて、AI「エラー」からのインスピレーションを6つの要素次元にまとめる
    • これらは「ターゲット選択」(Part, Whole)と「視覚的連想」(Color, Outline, Texture, Structure)に分類されました910
  • 20人のデザイナーを対象に、比較発想実験を行う
    • オリジナル画像のみ(No-Mislabeled)と「誤ったラベル付け」された画像(Mislabeled)の両方を使ってアイデアを出してもらう
  • アンケートとインタビューを用いて、AI「エラー」とデザイナーのインスピレーションの関係を探る
  • アイデアの質をNovelty(新規性)とUsefulness(有用性)という2つの指標で評価

Results

アイデアの質を評価した結果 M: 平均 SD: 標準偏差
アイデアの質を評価した結果 M: 平均 SD: 標準偏差
  • アイデアの質は Novelty(新規性)とUsefulness(有用性)ともに AIのエラーを見せたグループの方が高い結果に
  • 「誤ったラベル付け」と正解との関連性/類似性レベルが高い時に良い結果が得られた
    • つまりランダムな間違いではダメ (当たり前だけど

特にAIエラーによって引き起こされる創造性の形態として 以下の四つが挙げられた

  • Combination - 誤ラベル付け(間違い)を元のオブジェクト(正解)の特徴に組み合わせる
  • Exploration -間違いに基づいて、元のオブジェクトの何らかの特徴を探求し、その形態を変更
  • Transformation - 間違いと元のオブジェクトを使って新しい概念を生み出す
  • Reinterpretation - 間違いに基づいて元のオブジェクトの特徴を再解釈する
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  • AIが 「主従関係」の「従」ではなく、(たまに変なこと/面白いことを言う)「パートナー」になるべき未来を示唆

Further Thoughts

論文を読んで考えた個人的感想

  • 自分がずっと考えてきたことがきちんと検証されている!!
  • 音楽領域でも同じようなことがあり得るか

Links

  • 生成AIとアイデアへの固着に関してはこちらの論文が詳しい